38(t)戦車のt~ドイツとチェコの関係はデリケート
日本の模型ファンに「チェコといえば、何?」で返ってくる答えに
「38(t)」
があると思います。実際私もチェコというなら38(t)の実写画像欲しい!とか思ったのですが、話はそう単純ではなかったのです。(t)という表記がどういう意味なのか?そして38(t)と通じてドイツとチェコのデリケートな関係を探ってみましょう。
38(t)はチェコのCKD社製
第二次大戦前のチェコスロバキア陸軍が戦車の開発を依頼したメーカーは3社あります。シュコダ、CKD、タトラです。38(t)は、CKD社が製造した戦車です。参考までに35(t)はシュコダが製造した戦車です。
38(t)はドイツ軍の主力Ⅲ号戦車に匹敵する性能を持ち、第二次大戦初期のドイツ機甲師団の実質的主力となりました。日本人としてはそりゃ38(t)と言えば、ロンメルの第7機甲師団の主力だし、ドイツのⅢ号に匹敵する優秀戦車なのですから、チェコの方も誇らしく話すに違いないと思っていました。しかし、話はそう簡単ではなかったのです。
38(t)はどの国の戦車?
38(t)の画像を提供していただけないかと、Vitさんにチェコの博物館に話を聞いてもらいました。博物館側の返答は私の予想外のものでした。博物館の答えの概要はこうです
これにはちょっと驚きました。そして自分の勉強不足を恥じました。確かに38(t)というのはドイツの名称です。そりゃそうですよね、チェコの人がわざわざ(t)なんてつけないですよね。38(t)という名前自体が、屈辱的なものとも言えるかもしれません。
単独HPを作ろう!
そして、このVitさんに聞いてもらった言葉が、このHPを作る単独で作る決心となった言葉でもあります。中央ヨーロッパはドイツ、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、ユダヤ人など数多くの要素が狭い地域に密集しているのもあって、各民族や国のアイデンティティへの想いは日本よりもずっと複雑で、ずっと重いものなのです。
鉄道旅本から引用~新田浩之さんの著書から
ドイツとチェコの関係を端的に示したものが鉄道関係の本にありましたのでご紹介します。
なるほど、チェコの列車なのになぜドイツ語放送があるのか?と怒っていらっしゃるんですね。その顛末は新田さんの「ロシア・ヨーロッパの鉄道旅行について書いてみた」をお読みください。チェコだけでなく、ロシア~ヨーロッパの鉄道を新田さんが「観察」した様子が分かりやすく書かれています。
チェコの歴史を学ぶと「チェコとドイツ」というのはかなり複雑なものです。チェコはドイツやオーストリア、ソ連、ハンガリーと一体化して語るのは良くありません。
新田さんもチェコ親善アンバサダー
新田さんはほりいみほさんと同じチェコ親善アンバサダーでもあります。
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