エリザベートをより深く楽しむ3~ボヘミアがエリザベートに登場しない一考察
ハプスブルク帝国にも含まれていたチェコ=ボヘミアがミュージカル「エリザベート」に登場しない理由は脚本家クンツェのルーツにあると考えました。なかなかデリケートな話ですが、エリザベートをより楽しむ一助になればと思います。
ボヘミアは何故か登場しない
ミュージカル「エリザベート」ではハプスブルク帝国=オーストリア帝国とハンガリーが頻繁に登場します。以前に掲載した
ハプスブルク帝国とは何者か? どこまで領土が広がっていたのか?
にも書かれていますが、ボヘミアはハプスブルク帝国の中に組み込まれていたにも関わらず登場しません。更に
にも書きましたが、皇太后ゾフィーはボヘミア貴族を重用していましたし、フェルディナントの妻はボヘミア生まれです。
にも関わらず、なぜボヘミアがエリザベートに登場しないのか?
脚本家クンツェはプラハ生まれのドイツ人
その謎を解く鍵は脚本家クンツェのルーツにあります。クンツェはチェコのプラハ生まれのドイツ人で、祖父は皇帝フランツ・ヨーゼフに仕えていました。しかし、クンツェはプラハを追われる事となったのです、クンツェの言葉を引用しましょう
ベネシュ布告
まず、最初にお断りしておくと極めてデリケートな話なので、論評はしません。
1945年から1947年にかけてチェコスロヴァキアではベネシュ布告と呼ばれる大統領令が出されますた。このベネシュ布告によってチェコスロヴァキア内のドイツ人とハンガリー人は市民権停止、国外追放、財産没収が行われました。
作曲家シルヴェスター・リーヴァイのルーツ
エリザベートの作曲家シルヴェスター・リーヴァイはハンガリー人で生まれはセルビアで、後にドイツに移住しています。
ボヘミアは意図的に登場を避けられた
上演されたのがウィーンであり、脚本家クンツェと作曲家リーヴァイのルーツを考えると、要らぬトラブルなどを回避するために
良くも悪くもボヘミアは登場させない
という決断をしたのではないかと思います。特にクンツェは「自分のチェコ=ボヘミアに対する想いが複雑である事」に自覚的でだったので、登場させないという決断をしたのだろうと思います。
個人的見解ではこのクンツェの決断は「大正解」と思います。ボヘミアを登場させない事で、無用な批判を避ける事ができたと思います。私のように調べたい人や気が付いた人は勝手に分かるでしょうから、これで良いのだと思います。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- キット紹介 review-kit2022年9月23日モデルズビット 1/48 F-82 ツインマスタング キットレビュー Modelsvit
- チェコ2022年7月2日フォマパン400撮影2022年5月~6月
- 音楽2022年6月29日再評価を望む!~星組エリザベート
- ウクライナ2022年6月21日ウクライナ絡みのプラモデル完成品