奥ゆかしいチェコのモデラー~エデュアルド社長の回答4
前回までの記事でチェコの模型メーカーの歴史を探りました。共産党政権下でのスヴァザームでの模型作りが衝撃的でした!・
今回は現在のチェコのモデラーについて語って頂こうと思います。今回の記事ではスペインへの言及もあります。日本のモデラーにとっては、スペインのモデラーが先進的で刺激的なように思ってしまうのですが、チェコのモデラーやヨーロッパの模型市場を直に見ておられるエデュアルド社長にとってはまた違う印象のようです。
日本の事情
「日本人は手先が器用」と言われるように、ミニチュア系の製作では日本人は定評がありますし、アクセサリー系の作家でも世界的にみてレベルが高いと感じます。特に1/700艦船模型は日本発縮尺というのもあってか、アフターパーツ市場にしろモデラーの技量にしろ世界的に見て高水準であると感じます。
日本人の「手先が器用」という特徴は、ヨーロッパではチェコに当てはまります。
チェコ人は黄金の手を持つ
と言われており、日本との共通点なのです。
私からの質問
B 「チェコ人は黄金の手を持つ」と言われていますが、現在でもチェコで模型作りというのは定着しているのでしょうか?
エデュアルド社長からの回答
モデラーにとっても、モデルやアクセサリーを製造する企業にとっても、間違いなくそうです。チェコのモデラーは世界のトップレベルにあり、ヨーロッパ中のプラモデルコンテストで優勝しています。同時に、彼らは非常に革新的で、モデルの構築や塗装の新しい手順や方法を発明します。ただ、そこまでして自分の技術を売り込む方法を知らない(宣伝できない/奥ゆかしい/自信はない)のではないかと思います。その結果、例えばスペインのモデラーについては多くのことを読むことができますが、チェコのモデラーの独特な模型の作り方については何も読むことができません。しかし、チェコのモデラーは、他のどの国のモデラーよりも、現在の世界のプラモデルの形に影響を与えていると思います。ところで、David Bílek2さんは、かつて日本の雑誌に自分の戦艦の模型を掲載していました。彼は1990年代にEduard社でセールスマネージャーとして働いていました。
回答 エデュアルド社長 Vladimir Sulc
翻訳 Vít ŠPÍŠEK
脚注 まいど!
解説
予想通り、チェコでも模型作りは定着しているようです。
生み出される作品も高水準です。日本人とは異なる個性ですが高水準の作品を生み出しています。しかし、エデュアルド社長のおっしゃる通り、確かにあまりチェコのモデラーの作品を雑誌などで見る事は多くありません。
例外として艦船模型スペシャルでウラジミール・カレンさんの作品が掲載されたことがあります。
しかし、この作例以外だと日本でチェコのモデラーの作品を雑誌で目にする機会は少ないのです。
そもそも、インターネットでの作品や記事は別にして、他国のモデラーの作品や技法というのはいくつかの例外を除くとあまり目にすることがありません。例外というのはスペインのモデラーです。日本でも定着した「ピグメント」はスペインのモデラー、ミゲル氏のブランドMIGプロダクションのものです。エデュアルド社長から見るとスペインのモデラーは自己アピールに長けているというか、日本人が思う「ラテン系のノリ」を持っているのかもしれません。
余談
まずエデュアルド社長 Vít ŠPÍŠEK さんの画像を提供していただきました
今回のインタビューのお礼としてエデュアルド社長に私も作例制作を行い記事を執筆した雑誌二誌をお送りしました。
私も作例が記事を書いた
の2誌です。
チェコでは日本の模型誌は入手できないそうで、大変喜ばれました。
翻訳・コーディネーター
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