ロシア人、チェコ人……ヨーロッパ最大の民族 スラヴ人は何者なのか?

ヨーロッパの3大民族(ゲルマン人、ラテン人、スラヴ人)の中で、最も認知度が低いのはスラヴ人ではないでしょうか。今回は私の主観も交えながら、スラヴ人の実像に迫りたいと思います。

ヨーロッパの諸民族の中で最大なスラヴ人

スラヴ人の話を進める前に、今回の記事における「民族」の定義を確認します。この記事における「民族」の定義は以下のとおりです。

・言語の同一性

・民族的起源の同一性

・文化の類似性

→上記の3点によって統括されるもの

上記の民族の定義によると、スラヴ人はヨーロッパ諸民族の中で最大と言われ、その数は3億人に及びます。地域的には現在の中央ヨーロッパ、東ヨーロッパとロシアとなり、大ざっぱに言うと、スラヴ人はドイツより東の地域に住んでいます。「スラヴ人の国」は以下のとおりです。

チェコ、ポーランド、スロバキア、ブルガリア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニア、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア

スラヴ人は3つにカテゴライズできる

スラヴ人は地理的位置と言語により、さらに東スラヴ系民族、西スラヴ系民族、南スラヴ系民族にカテゴライズできます。お互いに文法は似ていますが、用いる文字や単語などが異なります。現在の国家をそれぞれの語群に当てはめると以下の通りです。

東スラヴ系民族:ロシア、ウクライナ、ベラルーシ

西スラヴ系民族:チェコ、ポーランド、スロバキア

南スラヴ系民族:スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニア、ブルガリア

言語は文化とも関連性があり、それぞれの語群では文化も異なります。たとえば東スラヴ語群では玉ねぎ形の教会が目に付きますが、西スラヴ語群ではカトリック教会になり、西ヨーロッパで見られるような尖塔タイプの教会が目につきます。

ただし「異なる」といっても、ゲルマン諸国やラテン諸国との間に生じる差異よりも大きくはありません。

旅行で感じるスラヴ人と他のヨーロッパ諸民族との違い

体格面ではスラヴ人とゲルマン人、ラテン人との間では大きな違いがあります。ゲルマン人は肩の骨格が「がっしり」していますが、スラヴ人はそれほどではありません。肩回りだけ見ると「日本人に似ている」と思うことも少なくありません。

一方、ラテン人との比較ではスラヴ人の肌の白さがポイントといえるでしょう。またラテン人の方が黒髪の率が高いように感じます。ただし、東ヨーロッパに住むラテン人であるルーマニア人、モルドバ人とスラヴ人を区別するのは至難の業ですが……。

ご承知のとおり、ヨーロッパは地続きの国が多いため、混血が進んでいるのも事実。一概にスラヴ人、ゲルマン人、ラテン人を外観だけで厳格に区別することは難しいように思います。とにもかくにも、スラヴ人は主にドイツより東の地域に住み、ヨーロッパ諸民族の中で「最大」ということは頭に入れて損はないと思います。

投稿者プロフィール

nitta
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新田浩之(にったひろし)、1987年神戸市生まれ。神戸大学国際文化学研究科修了。2018年にチェコ政府観光局公認「チェコ親善アンバサダー」に就任。普段はライターとして関西の鉄道や中東欧・ロシアの鉄道や歴史などを書く。講演なども手掛ける。著書『ロシア・ヨーロッパの鉄道旅行について書いてみた』

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