共産党軍事組織でプラモを作る~エデュアルド社長の回答2
前回の記事では、チェコのプラモデル黎明期を解説していただきました。今回は共産党政権下で模型作りがチェコになぜ定着したのかを探ります。模型作りは共産党の準軍事組織「Svazarm」(スバザーム、スヴァザーム)に組み込まれていたのです。 「Svazarm」は新田さんによる単独記事もご覧ください。
参考 戦中期間の日本の模型事情
参考文献 模型のメディア論 松井広志
模型のメディア論の第3章で、戦中の日本の模型事情について書かれています。今回の Svazarm に関する記事は戦中期間の日本とも相通じるものがあります。特に飛行機模型に関して軍部の関与は大きかったようです。
エデュアルド社長の回答
当時は、国家から独立してそのような学会 協会を設立することはできませんでした。共産党政権は、社会生活に目を光らせていました。しかし、プラモデルクラブは、主に国民の防衛訓練を目的とした国家組織「スバザーム」の中に結成されていました。将来のパイロットを養成するエアロクラブ、パラシュートクラブ、射撃クラブ、そして不思議なことに模型クラブもありました。スバザームのセクションのひとつにプラモデルがありました。これにより、地元や選手権3などの大会を開催することができました。当時のチェコスロバキア選手権は、現在のサッカーのチャンピオンズリーグのような形で開催される昇格戦 勝ち抜き戦でした。各部門の未来の優勝者4と総合優勝者は、地区大会、地域大会、共和国大会を経て、連邦大会の決勝戦に挑みました。何百人ものモデラーが参加し、壮観でした。
回答 エデュアルド社長 Vladimir Sulc
翻訳 Vít ŠPÍŠEK
脚注 まいど!
Vitさんによる スバザーム の解説
スバザーム(Svazarm)は、1951年にソ連をモデルに作られたチェコスロバキアの防衛組織でありました。地区のリーダーまでは、チェコスロバキア人民軍の退役将校が務めていました。公式には、スバザームはミリタリーとスポーツに関心のある人々を集めていました。スバザームの中には、ドッグトレーナー、射撃手、ラジオのアマチュア、スポーツカーのドライバー、飛行士などがいましたが、スバザームは軍隊とはあまり関係のない活動もカバーしていました。例えば軍事史、コンピューター技術、さらにはモデリングも含まれていました。
解説・翻訳 Vít ŠPÍŠEK
解説 共産党がプラモデルを公認!
エデュアルド社長の回答の中でまず最初に驚いた箇所が「スバザーム」に関してです。
以下参考画像です。
まさか共産党の一組織の中にプラモデルが組み込まれていたとは!!全く想像もできませんでした。それもチャンピオンズリーグのように勝ち抜き戦(トーナメント方式)が大規模に行われていたとは!
確かに Svazarm で検索をかけると、上記のような射撃の画像に加えてラジオのクラブやドッグトレーナーも存在していたようです。
日本のようにプラモデル=プラスチックモデルキットが玩具の一ジャンルであったのとは大きな違いがあるようです。
私見 チェコのプラモデルに飛行機が多い理由
エデュアルド社長のインタビューには書かれていない内容なのですが、私見を述べます。
プラモデルのジャンルは大きく分けると自動車/バイク、飛行機、戦車、艦船、キャラクターに分かれています。ネット通販でも概ねこのジャンル分けになっています。生産/販売、個数/金額の違いで異なりますが、日本ではガンプラをはじめとするキャラクターが一番多いのです。
ではチェコは?現在発売されているチェコ製のプラモデルのジャンル比率を見ると圧倒的に飛行機が多いのです。艦船模型の少なさはチェコスロヴァキア建国当時から海が無いからなのか?と思っていたのですが、チェコは日本・中国・ウクライナと比べても、AFVやカーモデルに比して飛行機模型が突出して多いのです。
この飛行機模型の多さは恐らく共産党時代のスバザームが基本的に飛行機の知識を得るための模型クラブだったからではないでしょうか?
次回は1980年代から現代のチェコの模型メーカーについてです。
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